2026年版・3-8

酸化還元反応と金属の腐食の一問一答

危険物乙4「基礎的な物理学及び基礎的な化学」から、酸化還元反応と金属の腐食に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-8

酸化(さんか)の定義に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 物質が酸素と化合する、または水素を失う変化のこと
  • 物質が水素と化合する、または酸素を失う反応
  • 物質が電子を受け取って、酸化数が減少する変化のこと
  • 物質が熱を吸収して分解し、別の物質に変化すること
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正解 物質が酸素と化合する、または水素を失う変化のこと
解説

酸化は次の3つの見方で定義され、いずれも同じ現象を別の角度から述べたものです。
1. 酸素と化合する(例:鉄+酸素→酸化鉄)
2. 水素を失う
3. 電子を失う(酸化数が増加する)
ガソリンが燃える、鉄がさびる、油が自然発火する、これらはすべて酸化反応です。燃焼とは「光と熱を伴う激しい酸化反応」のことを指します。

【試験の罠】
「酸素を失う」「水素と化合する」「電子を受け取る(酸化数が減少する)」は、いずれも還元の定義です。酸化と還元はちょうど正反対の関係にあるため、キーワードを入れ替えたひっかけが頻出します。また、単に熱を吸収して分解する変化は酸化とは無関係です。
問23-8

酸化剤(さんかざい)の働きに関する記述として、正しいものはどれか。

  • 酸化剤は相手を還元し、自分自身は酸化される物質である
  • 酸化剤は相手を酸化させ、自分自身は還元される物質である
  • 酸化剤は他の物質から電子を奪わず、酸素だけを与える
  • 酸化剤は自分自身も相手も同時に酸化させる性質を持つ物質である
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正解 酸化剤は相手を酸化させ、自分自身は還元される物質である
解説

酸化剤とは、相手から電子を奪い取る(=相手を酸化する)物質です。電子を奪った側は自分が電子を受け取ることになるので、自分自身は還元されます。消防法でいえば、第1類危険物(酸化性固体)や第6類危険物(酸化性液体)が代表的な酸化剤で、自身は燃えないのに他の物質の燃焼を助ける「支燃性」を示します。
逆に還元剤は相手に電子を与える物質で、自分自身は酸化されます。第4類危険物のような可燃物は還元剤側です。

【試験の罠】
「酸化剤は自分が酸化される」という覚え方は誤りです。『相手を酸化する=自分は還元される』とセットで覚えてください。また酸化剤の働きは「酸素を与える」だけに限らず、「電子を奪う」「水素を奪う」ことも酸化剤の働きに含まれます。
問33-8

酸化と還元の関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 酸化が終わってから、時間をおいて還元が起こるのが普通である
  • 酸化と還元は互いに無関係で、それぞれ独立して進行する反応である
  • 酸化と還元は必ず同時に起こり、一方だけが進むことはないもの
  • 酸化は発熱反応であり、還元も必ず発熱反応になるものである
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正解 酸化と還元は必ず同時に起こり、一方だけが進むことはないもの
解説

酸化・還元の本質は「電子のやり取り」です。電子を失う物質(酸化される側)がいれば、その電子を受け取る物質(還元される側)が必ず存在します。電子だけが空中に消えることはないため、酸化と還元は必ずペアで同時に進行します。これを酸化還元反応(レドックス反応)と呼びます。
例えば炭素の燃焼 C+O2→CO2 では、炭素は酸素と化合して酸化され、同時に酸素は電子を受け取って還元されています。

【試験の罠】
「酸化だけが単独で起こる」「時間差で起こる」という記述は誤りです。また、酸化反応の多く(燃焼など)は発熱反応ですが、還元反応が必ず発熱になるわけではないため、この選択肢も誤りです。
問43-8

金属のイオン化傾向(イオンへのなりやすさ)に関する記述として、正しいものはどれか。

  • イオン化傾向が大きい金属ほど、酸化されにくく腐食しにくい
  • 白金や金はイオン化傾向が大きく、空気中で速やかに酸化される
  • イオン化傾向の大小は、金属の腐食のしやすさとは全く関係がない
  • イオン化傾向が大きい金属ほど電子を失いやすく、腐食しやすい
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正解 イオン化傾向が大きい金属ほど電子を失いやすく、腐食しやすい
解説

イオン化傾向とは、金属が電子を放出して陽イオンになろうとする性質の強さです。代表的な順序は次のとおりです。
K(カリウム)>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au
左側ほどイオン化傾向が大きく、電子を失いやすい=酸化されやすい=腐食しやすい金属です。ナトリウムやカリウムが第3類危険物(自然発火性・禁水性物質)に指定されているのは、イオン化傾向が極めて大きく、水や空気中の酸素と激しく反応するためです。

【試験の罠】
金(Au)や白金(Pt)はイオン化傾向が最も小さいため、空気中でも変色せず腐食しません。「イオン化傾向が大きい=安定」と覚えると全問間違えます。大きい=反応しやすい=危険、と結び付けてください。
問53-8

鉄が空気中でさびる(腐食する)ために必要な条件の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

  • 水分(湿気)と酸素の両方が存在していること
  • 窒素と二酸化炭素の両方が十分に存在すること
  • 完全に乾燥していて、かつ酸素が存在しないこと
  • 高温であること、および紫外線が当たっていること
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正解 水分(湿気)と酸素の両方が存在していること
解説

鉄のさびは電気化学的な腐食反応で進行します。鉄の表面に水の膜(電解質)ができ、そこに酸素が供給されると、鉄が電子を失って鉄イオンとなり溶け出します。つまり水と酸素のどちらか一方でも欠ければ、常温での腐食はほとんど進みません。
乾燥した砂漠地帯では鉄がさびにくく、逆に湿度が高く塩分を含む海岸部では腐食が急速に進むのはこのためです。危険物施設の配管やタンクでは、塗装・めっき・電気防食などで水と酸素の接触を断つ対策がとられます。

【試験の罠】
窒素や二酸化炭素は安定な気体で、鉄を腐食させません(むしろ窒素は不活性ガスとして封入に使われます)。また「乾燥かつ無酸素」は腐食しない条件であり、腐食の条件ではありません。紫外線は金属腐食の直接原因ではありません。
問63-8

異種金属接触腐食(電食)が起こる仕組みに関する記述として、正しいものはどれか。

  • イオン化傾向の等しい金属同士を接触させたときにのみ発生する
  • イオン化傾向の大きい側の金属が優先的に腐食していく現象である
  • 接触した2つの金属のうち、必ず硬いほうの金属が先に腐食する
  • 金属が水分に触れなくても、乾燥した空気中で急速に進行していく
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正解 イオン化傾向の大きい側の金属が優先的に腐食していく現象である
解説

異なる2種類の金属が電解質(水分)を介して接触すると、両者の間に電池(ボルタ電池)が形成されます。このときイオン化傾向の大きいほうの金属が電子を放出して陽イオンとなり、溶け出して腐食します(陽極=アノードになる)。イオン化傾向の小さいほうは電子を受け取る側(陰極)となり保護されます。
例えば鉄(Fe)と銅(Cu)を接触させて水がかかると、イオン化傾向の大きい鉄のほうが激しく腐食します。危険物配管で異種金属を継ぎ合わせる際に絶縁継手を用いるのは、この電食を防ぐためです。

【試験の罠】
同じ金属同士では電位差が生じないため、この腐食は起こりません。また腐食の進み方は金属の硬さとは無関係で、あくまでイオン化傾向で決まります。水分(電解質)がなければ電池は成立しないため、乾燥状態では進行しません。
問73-8

地中に埋設された金属配管の腐食が進行しやすい条件として、誤っているものはどれか。

  • 土壌の含水率が高く、常に湿った状態が続いている場所
  • 土壌に塩分や酸性成分が多く含まれ、電気を通しやすい場所
  • 砂質土と粘土質土のように、性質の異なる土壌をまたぐ場所
  • 土壌が完全に乾燥しており、電気をほとんど通さない場所
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正解 土壌が完全に乾燥しており、電気をほとんど通さない場所
解説

地中埋設配管の腐食も電気化学反応であり、土壌が電解質(電気を通す媒体)として働くことで進行します。したがって次の条件がそろうほど腐食は速くなります。
1. 湿っている(水分が多い)
2. 塩分や酸を含み、土壌の電気抵抗が低い
3. 異なる種類の土壌をまたぐ(土壌の性質の差で電位差=マクロセルが生じる)
4. 迷走電流(漏れ電流)が流れている
逆に乾燥して電気抵抗の高い土壌では、腐食電流が流れにくく腐食は遅くなります。

【試験の罠】
「土壌が違う場所をまたぐと腐食する」は直感的に分かりにくいですが、地下タンクや配管の腐食原因として実際に重要な論点です。「乾燥=腐食しにくい」は鉄のさびと同じ理屈で判断できます。
問83-8

金属の腐食を防ぐ「電気防食」の方法に関する記述として、正しいものはどれか。

  • 配管の表面温度を上昇させ続けることで、水分の付着を防止する方法
  • 配管に電気を流して発熱させることで、土壌の水分を蒸発させる方法
  • 配管より硬く丈夫な金属によって表面を覆い、外部からの衝撃を防ぐ方法
  • 配管よりイオン化傾向の大きい金属を接続し、身代わりに腐食させる方法
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正解 配管よりイオン化傾向の大きい金属を接続し、身代わりに腐食させる方法
解説

電気防食には大きく2つの方式があります。
1. 流電陽極方式(犠牲陽極法)…防食したい鋼製の配管やタンクに、鉄よりイオン化傾向の大きいマグネシウムや亜鉛の塊を接続します。イオン化傾向の大きいこれらの金属が先に溶けて(犠牲になって)、鉄本体の腐食を防ぎます。
2. 外部電源方式…外部の直流電源から防食電流を流し、鋼材を強制的に電子が余った状態(陰極)にして腐食を止めます。
いずれも「守りたい金属を陰極にする」という点で共通しています。

【試験の罠】
塗装・ライニング・めっきは水と酸素の遮断による防食であり、電気防食とは別の考え方です。加熱や物理的な被覆は電気防食ではありません。
問93-8

有機物の完全燃焼と不完全燃焼に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • 完全燃焼では、主に二酸化炭素と水のみが生成されるとされている
  • 不完全燃焼では、有毒な一酸化炭素やすすが多く発生するとされている
  • 不完全燃焼は、酸素の供給が不足しているときに起こりやすいとされる
  • 不完全燃焼のほうが完全燃焼より発生する熱量が大きくなるとされる
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正解 不完全燃焼のほうが完全燃焼より発生する熱量が大きくなるとされる
解説

炭素と水素からなる有機物が十分な酸素の下で燃えると、炭素は二酸化炭素(CO2)に、水素は水(H2O)になり、酸化が最後まで進んで最大の熱量が得られます。これが完全燃焼です。
一方、酸素の供給が不足すると炭素の酸化が途中で止まり、一酸化炭素(CO)や炭素の微粒子(すす、黒煙)が生じます。これが不完全燃焼で、酸化しきっていない分だけ取り出せる熱量は小さくなります。

【試験の罠】
黒煙が多く出る=激しく燃えている=熱量が大きい、と勘違いしがちですが逆です。黒煙は燃え残りの証拠です。なお一酸化炭素は無色無臭で猛毒かつ可燃性であり、火災現場での死因として最も多いガスである点も頻出です。
問103-8

次の化合物における下線の原子の酸化数のうち、値が正しいものはどれか。

  • 水(H2O)における水素(H)の酸化数は マイナス1 である
  • 二酸化炭素(CO2)における炭素(C)の酸化数は プラス4 である
  • 単体である酸素分子(O2)の酸素の酸化数は マイナス2 である
  • 塩化ナトリウム(NaCl)のナトリウムの酸化数は マイナス1 である
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正解 二酸化炭素(CO2)における炭素(C)の酸化数は プラス4 である
解説

酸化数の基本ルールは次のとおりです。
1. 単体の原子の酸化数は 0
2. 化合物中の酸素は原則 マイナス2、水素は原則 プラス1
3. 化合物全体の酸化数の合計は 0
CO2で計算すると、酸素が2個で(マイナス2)×2=マイナス4。全体を0にするには炭素が プラス4 でなければなりません。よって炭素の酸化数は +4 です。
炭素は燃焼によって0(単体)から+4(CO2)へと酸化数が増加しており、これがまさに「酸化された」ことを意味します。

【試験の罠】
単体(O2、N2、Fe など)の酸化数は必ず 0 です。「酸素だから マイナス2」と機械的に当てはめると誤ります。また水の水素は プラス1、ナトリウムイオンは プラス1 です。符号の取り違えに注意してください。
危険物乙4の問題を続けて解く(全400問) 基礎的な物理学及び基礎的な化学の一問一答

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